2022.01.02

妊娠中絶の同意書について

母体保護法第14条において人工妊娠中絶を行う場合、結婚している、すなわち民法上の届出によって成立した婚姻関係にある(民法上財産相続権のある)方は、本人と配偶者の同意が必要とされております。ただ14条第2項には例外規定として、配偶者が知れないとき、もしくはその意思を表示することができないときは、本人の同意だけで足りるとありますので、妊娠が判明した時点で配偶者と連絡が取れなくなった場合は、本人の同意だけとなります。また配偶者にDV等を受けているなど婚姻関係が実質的に破綻しており、同意を得ることが困難な場合も第2項の規定に該当します。ただ相手が不倫相手や暴行等での第三者による妊娠の場合は、配偶者の同意が必要となります。

未婚女性の場合は、民法上財産相続権のあるものが配偶者であり、単に恋愛関係にあるだけでは配偶者に相当しないと考えられます。そのため母体保護法上は、結婚していない方すなわち配偶者のいない方は、配偶者の同意は必要ありません。ただ同居している、婚約している等、届出はしていないが実質的に夫婦と同様な関係の状態(事実婚)の方は、パートナーの同意が必要となります。

日本産婦人科医会では、配偶者の理解不足や誤解から同意を拒否するケースがあり、このような状況下で妊娠中絶時期が遅れたり、失することがあるようなら母体の保護の観点からも問題があり、12週未満については女性の自己決定権による任意の人工妊娠中絶を認め、当然女性の同意だけで足りるように「提言」をだしておりますが、未だ母体保護法の改正には至っておりません。

 

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