子宮頸がん検診
一般的に「子宮がん検診」とは子宮の入り口のがんである子宮頚がんの検査のことを指します。子宮がん検診の制度ができてから、症状のない初期のうちに子宮頚がんが見つかるようになり、死亡率も半分以下まで減っています。
しかし検診を受ける人は毎年受けるが、受けない人は全く受けないため、最近では死亡率の減少は横ばいとなっています。不正出血の症状があってから見つかる場合の多くは進行しているため、症状のある場合はもちろんのこと、無症状でも1〜2年に1回の頻度で検診を受けた方がよいでしょう。近年子宮頚がんの発生率はその他の年代では減っているのに対し、20代では増加しています。
現在20代、30代の女性のがん死亡原因の1位は子宮頸がんとなっております。
費用
- 名古屋市在住の方 500円(名古屋市委託検診)
- 名古屋市外の方 3,300円(自費)
※症状(不正出血など)がある場合、保険で検査可能です。
検査方法
内診台で行います。ブラシで子宮の入り口の癌の発生部位しやすい部位を、軽くこすって取るだけなのでほとんど痛みはありません。軽度の出血を見ることがありますが、心配ありません。
結果は1週間程度で出ます。名古屋市委託検診の結果は希望があれば郵送も可能です。
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結果が要再検査(要精密検査)の場合
子宮がん検診(細胞診)では、ブラシで採った細胞を染めて、細胞に異常があるかどうか検査して分類しています。
要精密検査の結果で多いものはASC-USとLSILです。
ASC-USはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染による細胞の変化がありますので、HPV検査でそのHPVがハイリスク型かどうか調べることが望ましいです。調べない場合、6ヵ月以内には再検査が必要です。
HPV検査が陰性ならそれほど心配なく、次回は1年後のがん検診でOKです。
陽性の場合、コルポスコピー観察での生検(組織検査)が必要です。陽性がでることは珍しくなく、検査した方の50%程度です。
LSILはコルポスコピー観察での生検(組織検査)が必要となります。
子宮頸がんはHPVの感染が原因です。HPVはセックスによって感染します。HPVは10〜30%の方が感染していますが、ほとんどの人は1年以内にHPVが消失します。HPV感染が続いている人のごく一部が頸がんを発症します。HPVは約100種類ありますが、頸がんをおこすのは、約15種類あるハイリスク型HPVなので、HPV検査ではそのハイリスク型があるかないかを綿棒で採取して調べます。
子宮の入り口のがんになりやすい部分をコルボスコピーという拡大鏡で観察して、あやしそうな部分から生検(組織のかけらを採る)する検査です。ある程度の出血と痛みを伴います。
よくあるご質問
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子宮がん検診は何歳から受けたほうがいいですか?
子宮がんは20代の若い世代から多いがんです。そのため20歳からの検診が推奨されています。
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子宮がん検診を受ける頻度は?
できれば毎年受けられるとよいのですが、特に出血などの症状がなければ、最低でも2年に1回は受ける必要があります。検査で異常が出たことのある方は、必ず決められた間隔で検査を受けてください。
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生理中でも検査できるの?
生理の時は正確な結果が出ない場合がありますので、生理でない時に検査します。
子宮体がん検診
子宮体がんは子宮の体部(内腔)にできるがんで、子宮頚がんとは別のものです。体がんは食生活の欧米化により近年増加してきており、子宮頸がんの発生数を上回ってきています。30代後半より増加し、未経産、肥満、生理不順などがリスクとなります。
子宮体がんの場合、何も症状がなければ心配ないことがほとんどのため、何か症状がでた時に検査をします。超音波検査で子宮内膜ポリープのある方、子宮内膜が肥厚している方には検査をお勧めいたします。
検査方法
- 名古屋市在住の方 500円
※子宮頚がん検診を受けた方で、下記の症状がある場合のみ検診可能です。(子宮体がん検診のみの受診はできません)
※名古屋市外の方は、下記の症状がある場合のみ保険適用で検査可能です。
症状
最近6ヶ月以内に次のような症状がある場合に検査を実施します。
- 不正性器出血(一過性の少量の出血、閉経後出血等)
- 褐色のおりもの
- 月経異常(過多月経、不規則月経等)
検査方法
子宮内に細い棒を挿入して、ブラシで子宮内膜の細胞を採取します。多少の痛みは伴います。検査後数日出血があることがあります。
子宮頸がんワクチン
このワクチンは、子宮頸がんの原因の60~70%を占めているとされるHPV16型と18型の感染を予防する効果があります。
また尖圭コンジローマの原因とされるHPV6型と11型の感染を予防する効果もあります。ただすでに感染しているHPVの排除や、すでに生じている病変の進行予防効果はありません。またワクチンで予防できる型以外のHPVによっても、子宮頸がんを発症することはあるため、このワクチンだけですべての子宮頸がんを防ぐことはできません。そのため定期的に子宮がん検診をうけることが大切です。
ガーダシルの4価に加えてHPV31、33、45、52、58、合計9価のより広範囲のハイリスクHPV型に対応できるため、子宮頚がんの90%予防可能といわれています。
費用
- 名古屋市公費接種(無料)
※中学1年生~高校1年生相当年齢の女性
- 自費 1回 17,600円(税込)
※9歳以上の女性
- 名古屋市公費接種(無料)
※中学1年生~高校1年生相当年齢の女性
- 自費 1回 30,000円(税込)
※9歳以上の女性
接種方法
電話で予約してお越しください。
接種回数 3回
接種間隔 1回目;初回接種
2回目;初回接種より2ヶ月後
3回目;初回接種より6ヶ月後
接種間隔の変更が必要な場合は1回目と2回目の間は1ヶ月以上、2回目と3回目の間は3ヶ月以上空けます。
副反応について
ガーダシルの場合、局所の副反応として疼痛(82.7%)、発赤(32.0%)、腫脹(28.3%)が、認められています。全身性の副反応としては、発熱(5.7%)、頭痛(3.7%)が、認められています。シルガード9でもほぼ同様な副反応です。
接種後に失神症状(血管迷走神経反射)がでることがあるため、30分程度の観察が必要です。
また接種当日は、 激しい運動を控えてください。
よくあるご質問
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何歳までワクチンを打てますか?
これまでの臨床試験では、45歳までのワクチンの有効性が証明されています。
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ワクチンの効果はどれくらい続きますか?
このワクチンの予防効果の持続期間は確立していません。
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子宮がん検診で異常があるのですが、ワクチンを打てますか?
すでに感染している型に対する効果はないですが、まだ感染していない型の感染を予防することができるため、軽度の異常であればワクチンを打つことができます。