2018.09.17

中絶薬について

薬で堕ろしたいんだけど、中絶薬ありますか?という問い合わせが時々あります。世界的に妊娠初期は、薬による中絶が簡単かつ安全ということで主流になっていますが、残念ながら認可されておらず、日本にはありませんとお答えしております。

世界保健機関(WHO)ではミフェプリストン、ミソプロストールの順番で、2種類の薬を使用することが、推奨されております。ミソプロストールはサイトテックという胃薬で、日本でも処方されていますが、胃薬として使う場合、流産のおそれがあるため、妊婦さんは飲めないことになっています。

中絶薬を使う時期がいちばん重要で、妊娠4週から5週が最適です。まずは子宮内に胎嚢を確認しないといけません。子宮外妊娠であった場合中絶薬は効果なく、出血したから大丈夫と思っていると突然激しい腹痛で救急車で運ばれて病院で緊急手術ということになります。胎嚢が確認できたら、すぐ服用です。早めの週数ほど下腹痛、出血量も少し重い生理程度で早めに収まり、子宮内もきれいになり易いです。5週から6週でも自然流産よりは子宮内容が出やすいとは思われますが、症状は長引きます。6~7週以降は症状も強く長くなり、残りやすいので最初から人工妊娠中絶手術が良いでしょう。

また胎嚢が排出されたかどうかの確認も必要です。生理くらいの出血があったから大丈夫と思っていても、実は妊娠が継続していて、気付いた時には妊娠中期になっていて、入院が何日も必要ということもあります。胎嚢が排出された後も経過観察は必要です。子宮内の残りの組織がきれいに排出しないと、出血が止まらない、妊娠反応が続く、途中で大出血を起こすなどあり手術が必要になります。

先日インターネットで中絶薬を個人輸入し服用した女性が、大量出血など健康被害を起こし入院したとして、厚生労働省が注意喚起を行っています。インターネットによる中絶薬購入は偽造品による健康被害のおそれがあり購入すべきではありません。日本の法律にも抵触し書類送検、逮捕された事例もあります。

日本でも正規の中絶薬が認可されて、医師の管理のもとで適切な時期に使用できれば安全に中絶が可能になり、良いことだと思いますが・・・