不妊治療

第2〜3ステップ排卵誘発剤・人工授精による治療

第2ステップでは、スムーズな排卵を促すため排卵誘発剤を使用します。それでも妊娠がない場合、第3ステップとして人工授精を行い、卵子と精子の出会いを助けます。

排卵誘発剤による治療

排卵誘発剤による治療

排卵誘発剤を使う場合

排卵障害

排卵が起きないと妊娠はしません。しかし何らかの原因で卵胞が成長しにくい、排卵が起きにくい場合、基礎体温を測ってもいつ排卵するのか判り難く、タイミングをとりにくいです。
また卵胞は成長していても、しっかりした排卵が起こらない場合があります。そのためスムーズな排卵をおこし、タイミングを判りやすくするために排卵誘発剤を使います。

原因不明

不妊検査の結果何も異常がなくても、タイミングを合わせるだけではなかなか妊娠に至らぬ場合、育つ卵子の数を増やして妊娠の確率を高めようとします。

排卵誘発剤の種類

内服剤と注射剤があります。内服剤より注射剤のほうが排卵誘発の力は強いです。まず内服から始め、効果がないか妊娠に至らぬ場合注射へと進みます。注射は通院も頻回となり、費用もかかり、副作用のでる可能性も高くなります。

内服剤(クロミッド等)

(基本的に)月経周期5日目から始め5日間内服します。1日1錠からですが効果がない場合1日2錠まで増量します。服用終了後5日前後で卵胞が育ち、hCG注射にて排卵を促し、タイミングをとります。効果を高めるために排卵誘発注射剤の併用をすることがあります。副作用として卵巣過剰刺激症候群は稀で、多胎も数%です。ごくたまに頭痛、消化器症状があります。

注射剤(hMG製剤等)

排卵誘発の力は注射剤の方が強いです。月経周期の2~4日目より毎日注射し、超音波検査で卵胞の発育をみながら注射を調節します。ちょうどよい卵胞サイズ(径16~18ミリ)になったころ(注射開始後5~7日が多い)にhCG注射し、排卵をうながしタイミングをとります。

注射剤の副作用について

多胎妊娠

注射剤の場合10~20%の確率で多胎となります。多胎のうち8割は双胎です。

卵巣刺激症候群(OHSS)

注射の刺激によって卵巣が腫れ、腹水がたまり、お腹が張る・下腹部痛等の症状がある状態です。
注射の治療では、大部分の方にある程度の卵巣の腫大と腹水の貯留はありますが、超音波検査でOHSSの予測はできるので、注射の量と質を調節したり場合によっては中止したりしてOHSSがひどくならないように予防しています。しかし体質的に予想外の反応をしてOHSSが強くでることがあります(特に妊娠していて多胎であった場合)。
稀ではありますが、最も怖いのは血液濃縮による血栓症であり、入院して点滴が必要になることがあります。

人工授精による治療

人工授精による治療
膣内に射出された精子が受精するまでの図

膣内に射出された精子は子宮頚管→子宮内腔→卵管へ泳ぎつき、卵子と授精します。しかしかなりの部分の精子が膣内と道中で力尽き、たどり着くのは少数です。
人工授精(AIH)は、精液を洗浄・濃縮し、多数の元気の良い精子を子宮内へ直接注入して卵子の出会いを助ける方法です。

費用

保険適応の場合 1,820点(3割自己負担で5,460円)

※現在のところ、年齢制限・回数制限はありません
※保険適応の場合、あらかじめ治療計画書を作成することが必要となります

自費8,000円(税込8,800円)

適用ケース

  • 精子の数が少なかったり、運動率が低い場合
  • 原因不明の長期にわたる不妊の場合
  • その他

方法

  • 1.実施日の決定

    超音波検査にて排卵直前の日を実施日と決めます。排卵を促す注射を使って排卵日を合わせる場合もあります。

  • 2.精液の持参

    事前にお渡しするカップに5~7日禁欲後の精液を入れて、人肌の温度で1時間以内に持参いただきます。

  • 3.精液を子宮内に注入

    細い管に処理した精子を入れ、子宮内に注入します。数分で終わりますが、注入後10分安静にします。たいてい何ともないですが、少し出血したりおなかが張ることはあります。

  • 4.抗生剤を内服

    感染予防の抗生剤を2日間内服してもらいます。それ以外は通常の生活を送っていただいて構いません。

妊娠率

人工授精の妊娠率は通常5~10%です。
妊娠する場合はほとんど3~5周期までに妊娠し、それ以上してもほとんど妊娠しないため次のステップがよいでしょう。